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海外コミュニケーションの勘所【第11回】外国人との仕事に自信をもつために          



松本 雅利(まつもと・まさとし)

リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社

コンサルタント


米国ゲーム会社の日本法人を皮切りに、比較的外国人の揺さぶりに弱い小さな外資系企業と、仏系自動車会社など比較的大きな外資系でキャリアを積んできた。今はRGP所属のコンサルタントとして日々の 業務にあたるとともに、ビジネスパーソンのSNS、LinkedInクリエーターとして情報発信もおこなっている。



何を話すかが大事


 よく国際化の時代といわれますが、それは外国語を学ぶことだけではありません。手段としての外国語の習得も大事ですが、その前提として必要なのは海外の人間と接して何を話すか? をよく認識することです。

 経理でも、外国人と仕事上で接点を持つケースは増えると思います。次のパターンが考えられます。 


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① 外資系企業で親会社とやりとりする

これは当然ですね。親会社とのレポートのやりとりを含め、英語は必須です。英語がわからないと仕事が進みません。


② 自社が海外企業の子会社になる

これは、これから十分に想定できるシチュエーションです。


③ 自社が海外市場で株式公開する

ケースとしては存在しますが、そんなに多くないかもしれません。


④ 外国人が入社してくる

今後一番増えるのはこれかもしれません。


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 この①から④のパターンですが、語学の必要性の濃淡はあります。でも共通して必要なものは何か? それは、何をいうべきか、自ら発信するべきは何かを自身の内面にもつことです。

 


英語でのコミュニケーション術を身につけるには


① 英語の経理用語を覚える

 まず、大前提は英語の経理用語を覚えることです。このブログの読者の方は、経理のお仕事をされている方が多いと思います。会計・経理の本を読破してみてください。英語がわからなくても、経理を日本語で処理した経験をお持ちならば、単語がわからないながらも、理解が進むはずです。一冊読むと英語での経理も面白いと思うようになります。そして次のステップで大学中級レベルの教科書にチャレンジするのです。

 英文だからと怖がらなくて大丈夫です。電子書籍サイトを立ち上げれば、さまざまなテキストが出てきますし、恐れずに、数ページをダウンロードしてみてください。読み進めることができそうなら、そのまま購入して読むとよいでしょう。おまけに電子書籍サイトには辞書内蔵のものもありますから、どうしてもわからないときは助けを借りることもできます。


② 自分の仕事の棚卸

 次は、今やっている仕事を棚卸してみることです。自分は何ができるのかを、自分をプレゼンするつもりになって英語で書いてみるのです。すると、気づくことがあると思います。

 自分は財務のほうが強いんだな、税金が強いなといった、自分の強みが明確になりますし、それが自信につながっていくのです。これは転職のススメではなく、英語で自分のこれまで培ってきたキャリアが可視化されることによって、自分の可能性を再認識できるのです。「あっ、自分のやっている業務は英語でこういうのか」という発見もあると思います。

 そして大事なのは、海外の企業における経理の立ち位置の認識です。最近では、日本の企業でも上場企業の場合、CFO(最高財務責任者)のポジション名をよくみるようになりましたが、非上場企業の場合は「総務部長」、「経理部長」が一般的でしょう。そこには、その仕事が営業の事後の仕事で、帳簿をつけて、税務申告を作成するのが最大の仕事のようなニュアンスがあります。

 米国のCFOの場合、それは当然のこととして、経営に対する方向性を経営陣にアドバイスするなど、会社のこれから先のあり方を決める議論に、会社の数字でもって参加します。私は、経理の仕事のキャリアプランを考えるとき、最終的にはそこにたどり着くべき、と思っています。ですから、経理部で仕事をしているということは、いわば、会社を代表する仕事をしているという認識を持つべきです。もちろん読者の皆さんの会社は、業界、規模、沿革などさまざまだと思います。でも、海外の人と接するとき、今自分の奉職している会社には CFOがいなくても、そのCFO的認識を持っていれば、仕事で外国人と一緒に仕事をすることになっても、焦ることはないと思うのです。

 余談になりますが、私は映画をよくみます。米国の映画を映画館で見たとき、エンドロールまでしっかり文字を追うのですが、そのなかに必ず経理の担当者の名前が出てきます。それも、給与係まで出てきます。ハリウッドの撮影部隊は大掛かりだし、それだけの資金が動くからと考えられなくもないですが、日本の映画で経理担当者の名前をエンドロールでみたことはありません。日本と米国で制作に関わるプロセスが違うのかもしれませんが、自分がその立場でエンドロールに名前が出たら、ちょっと誇らしい気持ちになるかもしれません。


③ インターネットの活用

 次はインターネットです。私が初めて電子メールを使ったのは米国のゲーム会社でした。今は誰もが知っている作法を知らず、他の社員が大型書店で買ってきた電子メールの解説書をじっくり読んでいました。CCが「カーボンコピー」と知ったのもその本でした。確か三省堂コンサイス英和辞典にはそういった単語はまだ収録されていませんでした。

 もちろん、いまは普通に使えていますが、最近は海外にメールを送るときは、翻訳ソフトを使って英文を日本語訳し、日本語として筋が通っているかを確認するようにしています。

 これは各社ともAIを駆使しており、間違った翻訳は正されて、正確な英訳、日本語訳になっています。

 精度は上がってきており、使わない手はありません。ちなみに私のメールの基本的な知識は、米国系ゲー ム会社に在籍していた日系米国人から教わったもので、解説本に出ていないことを多く教わりました。また、私がこの英文会計の世界に入ったときは、小さな外資系企業だったせいもあり、日本の会計ソフトを使っていました。しかし、今ではERPの使用が一般的になりました。設定一つで言語の切替えができるようになりました。私は日本の会計ソフトの科目名を英語に設定し直して、親会社からのレポートに対応していましたが、ERPになればその必要はありません。



外国人が入社して来たとき

 

この点が、これまでの論点に入っていませんでした。読者のみなさんの会社は基本的に日系企業で、日本語が社内公用語かと思います。そこに入ってくる外国人は留学生のケースが多いと思います。そんなに身構えることは必要ないでしょう。

 ただ、ジェンダーの不平等には敏感だということは考えておいたほうがいいと思います。意見を聞いて経理だけではなく、会社全体の問題として対処していく必要があると思います。


 

 以上みてきたとおり、英文会計用語の習得、経理という仕事を自分のキャリアの視点から深掘りし、そして最後はインターネットを活用するのです。AIと言い換えてもいいかもしれませんが、これを駆使すれば、英語の不得手感も払拭できます。それよりも、CFO的発想で自分の仕事を再定義するのです。

 これを念頭において海外の人間と接すれば、怖いものはないと思います。とにかく、相手のいうことを聞くだけではダメです。言うべきことをしっかり言う。英語は下手でもいいのです。


 次回は連載の最終回になります。攻めの経理で勝ち抜いていくためにどうすべきか。これまでの総まとめとしてお送りしたいと思っています。



【参考文献】

『Accounting dummies(For Dummies社)…いわば英語で書かれた経理入門書。いろいろな著者により数冊出ています。すべて電子書籍で購入できます。

『Intermediate accounting Donald E.Kieso』(WILEY社)…残念ながら電子書籍はありません。大学のテキストで10センチほどの厚さがあり、私はコピーをとって通勤のとき読んでいました。

『Intermediate Accounting IFRS』ペーパーバックー2020/7/8 英語版 (DonaldE. Kieso, Jerry J. Weygandt, Terry D. Warfield(著))

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