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海外コミュニケーションの勘所【第7回】語学はビジネスに必携のツールではない?

更新日:1月12日



松本 雅利(まつもと・まさとし)

リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社

コンサルタント


米国ゲーム会社の日本法人を皮切りに、比較的外国人の揺さぶりに弱い小さな外資系企業と、仏系自動車会社など比較的大きな外資系でキャリアを積んできた。今はRGP所属のコンサルタントとして日々の 業務にあたるとともに、ビジネスパーソンのSNS、LinkedInクリエーターとして情報発信もおこなっている。




ある会社のプレスリリース

図表はある会社のプレスリリースです。このプレスリリースはコミュニケーションとは何かを語りかけているような気がします。これはAI自動翻訳の開発・運営を手掛けている(株)ロゼッタが出したもので、商品宣伝のためという点で割り引いて考えても、いろいろと考えさせられます。しかし、このニュースリリースは一部ビジネスサイトで話題になったものの、約10年前に楽天が打ち出した、公用語を英語とし、日本語を禁止したときほど、話題にはならなかったような気がします。

 このプレスリリースには、海外コミュニケーションをめぐる論点が網羅されていると思いますので、それを整理してみたいと思います。


英語、語学はビジネス上必要不可欠ではない

 英語という語学ができるかどうかは、もう障害ではなくなりつつあります。ある会社にいる香港のアジア本社の日本担当の女性は、英語はできますが、話せる日本語は「こんにちは」、「ありがとう」、「いくらですか」くらいです。そんな彼女が、日本語の請求書やそれが添付されたメールの内容について頻繁に質問してきます。その彼女に日本語力を授けたのはAIの力でした。日本語のメールや添付書類を片っ端からGoogle翻訳で読み込んでいたのです。

 もっとも、かく言う筆者も、メールは自分で英文のメールを書いて、Google翻訳でまともな日本語になったらよしとして、送るようにしています。

 Google翻訳以外にもさまざまな翻訳サイトがありますが、共通するのは翻訳内容が本来の意味と違ったとき、訂正をすると、経験値としてその訳し方を学習し、精度を高めている点です。

 もちろん、会話でも旅行会話用のツールを見かけることも多くなりましたが、ビジネスツールとして使える同時通訳ツールはまだまだです。しかし、遠くない将来、AIが進化していけば、就職のときにTOEICやTOEFLの点数が求められることもなくなるかもしれません。むしろ、仕事で何を経験してきたか、何ができるかが、問われることになると思います。  


日本語の力

日本では、作文の授業があまりないと感じるのですが、作文は論理的思考の基になるものなので、ロジカルな文章の組み立て方や、体系立てて文章の書き方を教える授業が、もっとあるといいのかなと思います。

 これは大分県の県立高校を卒業後、ハーバード大学に留学し、首席で卒業した廣津留すみれさんが東洋経済オンラインのインタビューで語った内容です。これはビジネス全般でもいえることだと思います。日本語は最後にならないと、その人の言いたいことが賛成なのか反対なのかわからないことのある言語です。だから論理的ではないのは仕方ないということもできますが、文章の構成を論理立てることは、それを心がけて文章を書いたり、話したりすれば何も難しいことではありません。


日本語より実務

 日本にある外資系企業では、とにかく英語ができれば、多少実務では劣っていてもその点には目をつぶるケースが多かったと思います。親会社の言うことを忠実に遂行することが求められたわけです。発信するよりも相手の言うことをよく理解できる英語力が求められたのです。

 ただ、筆者は英語だけではダメだろうと認識し、会社から「英会話学校で英語の勉強をせよ」といわれたとき、「英文会計の学校へ行きたい」と逆提案して受け入れてもらいました。結局のところ、日常会話を勉強するよりは、英語を通して米国の会計を学び、専門用語を習得した方がよかったと思います。この連載で何度か取り上げた英文会計の私塾のようなところで勉強し、米国の会計実務を学びました。そのおかげで、専門用語を英語で言い換えるのに苦労しなくなりましたし、さらにその先の実務も会得でき、仕事を進めるにあたって有益だったと思っています。

 

それでも英語、外国語

 逆説的なことをいうようですが、やはり外国語はできるに越したことはありません。Alが力を発揮しても、です。それでなるほど、と思ったインタビュー記事がありました。ビジネス英語で30年以上NHKでの講座を担当していた杉田敏さんの言葉です。

私はビジネス英語講座の究極の目的を「英語で雑談できる力」の習得と考えています。

 私もこの記事には納得できるところがありました。同じようなことを思っていたからです。ビジネスの本題に入る前のちょっとした雑談が、本題に入る前のウォーミングアップになるし、ランチの時間も同じく、お互いのパーソナリティを知ることにもなります。ただ、これが難しいのです。話題がポンポン飛ぶから、その話題の語彙を持ち得ていないと、ついていけないのです。でも、そこで聞く一方では英語の進歩はないですから、会話の腰を折ることになっても、ガンガン話し込んでいくのです。そこで相手が怪訝な顔をしたら、言葉を変えて言ってみます。

 そのためには、英字新聞を読んでおくなんてこともしました。ちなみに日本ではほとんどありませんが、米国では社員同士で大統領の政策について普通に議論していました。その議論に加わるには、政治ニュースもフォローしておく必要性を感じました。雑談を通して、その人の人となりもわかるわけです。

私の英文会計の先生は、会計英語に慣れてから会話に入ると習熟スピードが違うよ、と仰っていたのですが、それを今実感しています。


【参考文献】

「留学経験ゼロで『ハーバード主席卒業』の日本人」(東洋経済オンライン 東洋経済education×ICT 2021年3月3日)

(耕論)「ビジネス英語の極意」(朝日新聞2021年4月1日)

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