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海外コミュニケーションの勘所【第8回】クリスマス、正月、春節 それぞれの働き方


松本 雅利(まつもと・まさとし)

リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社

コンサルタント


米国ゲーム会社の日本法人を皮切りに、比較的外国人の揺さぶりに弱い小さな外資系企業と、仏系自動車会社など比較的大きな外資系でキャリアを積んできた。今はRGP所属のコンサルタントとして日々の 業務にあたるとともに、ビジネスパーソンのSNS、LinkedInクリエーターとして情報発信もおこなっている。



お正月と外資系

外資系企業は年末から1月にかけて過酷な日々を迎えています。外資系企業は総じて決算は12月。もちろん、月次レベルできっちりやっていれば問題ないとはいわれそうですが、これに加え、日本の場合、法定調書、償却資産税申告もあり、怒涛のごとく業務の波が襲ってきます。会社決算以外は特に税務は12月締めですので、ウイズコロナ下でもこのスケジュールは変わらないと思います。今の会社はITやERPのおかげでそうでもないのかもしれませんが、今から20年くらい前は三が日もゆっくりなんてしていられませんでした。お屠蘇気分を吹き払い、誰もいないオフィスに行き、締めの作業を行うのが常でした。

 そして、決算締め、監査というプロセスもあります。月次では3日くらいで締めるところを本決算では本社も1週間くらい余裕を持たせてくれます。日頃は出力しない元帳を印刷し、ファイリングするのもこのころです。少人数で業務を回す小さな外資系では、多忙は致し方ありません。

 しかし、欧米では12月はほとんど動きません。感謝祭などさまざまなイベントがあり、クリスマスもあります。

 アメリカの会社の決算月はどうだろうかと思って調べてみると、ばらつきがあるようです。12月決算が多いのは確かですが、決算月は1年間まんべんなくあります。そういえば、私が最初に入った外資系のゲーム会社は9月決算でした。暑いさなか、在庫のテレビゲームを数えるため汗をかきながら棚卸しをやったのが昨日のように感じられます。

 それはともかく、12月、そして1月は忙しいのです。監査対応もしなくてはならない。特に外資系中小企業でも、そして法定監査でもない任意監査でも手順は同じです。準備や対応で忙しい日々が続くのです。

 ところが、あるBtoBの米国系の会社は、決算は当然の仕事であっても、本社に報告する決算の締めを通常より長くとって、極めつけは監査がないのです。親会社がワールドワイドの監査法人グループに属していれば、その日本法人が監査をするのが当然と思っていたのに、それがなく、ゆっくりとした、のどかな夢のようなお正月になったのです。

 それはなぜでしょうか?

 それは前任者が親会社に掛け合って、①日本はお正月を家族と過ごすことを何よりも大事にする。三が日は少なくとも休むのが日本だ。②監査費用は200万、 300万はかかる。こんな小さな子会社にそんな大金を使ってどうする? グループに与えるインパクトは、そんなに大きくないのだから、なくてもよいのではないか? この2つを言ったことで、なんと多忙ながら、お正月はしっかり休めるようになったのです。

 これで思ったのは、外国人にはやはり言いたいこと、主張は必ずすべきだなということでした。こういった主張を彼らも無碍に踏みにじることはできないはずです。なぜなら、12月のホリデーシーズンにしっかりと休んでいるからです。そして、家族サービスをして

いるのです。

 そして日本の隣国中国では、すでに日本より組織も働く人の数も断然多いのに、春節になると完全に機能は停止します。春節にはみんな故郷に帰っていきます。休みを削って仕事に励む中国人社員はいません。

 そんななか、365日、休みを削って働きづめなのが日本人なのです。


言うべきことは主張する

 いくつかの会社を経験してわかったのは、やはり言うべきことは主張しないとダメだ、ということです。まして、クリスマスや春節は、その国に住む人たちにとっては、アイデンティティそのものです。じゃあ日本は?となると、お正月でしょう。夏のお盆休みには旅行に行く若い人も、年末年始は故郷で過ごす人が多い。旧友との再会も楽しいものですから、これはある意味譲ってはいけない線といえます。それを主張することで得られた平安は、非常に大きな経験でした。それはある意味、日本の英語教育の反映かもしれません。日本人は受験勉強のおかげで英単語の語彙力はあります。そして英文解釈主体の授業が行われ、日本の英語の授業は欧米、というより米国のいうことをよく理解し、国内でうまくその米国人の考えることを伝えること、行動することがベースにあるため、英作文の授業はまるで英文法のお作法の授業のようでした。本来は、自分の考えなり、意思を伝えるのが語学のはずなのに、です。本当なら文法お構いなしで、英語で文章を書かせ、英語のロジックで物事を考えることを教えればいいのに、これは三単現の「S」がついていないとか、これは過去完了にすべきだとか、枝葉末節にこだわる授業でした。その方、英文解釈は逐語訳で丁寧に訳させます。

英語を書く、話すのなら文法を間違えちゃいけないという意識を潜在的に中学高校で植えつけられるから、英語は苦手と思い込んでしまうのです。

 その対極にあったのが中国人の英語観です。1999年のドキュメンタリー映画に「クレイジー・イングリッシュ」という作品がありました。この映画は、ある人気英語教師を追跡したもので、彼がいうには「英語で金儲けしようぜ、英語で中国を世界に広めよう!」、英語をポジティブに捉え、中国人に英語を学ぶ意味を教えました。

ある意味で、この英語教師に誘発されたわけでもないでしょうが、中国は世界のなかに確固たる地位を築くに至りました。とにかく英語をポジティブに捉え、世界に打って出る道具と考えるのです。

 そういう意味において、自分がそれに近い英語観を持てたのは、若いころ英文会計の私塾のようなところで教わった先生のおかげでもあります。厚さ5センチくらいの米国の高校生が読む会計の教科書を読まされたのです。先生に、会計ロジックは同じだから、このテキストを読めば、世界が開けるよ、といわれたのです。また、米国のビジネスと日本との違いも教わりました。

 有給休暇で休むとき理由をいう必要はない。管理職はそれだけ高い給与をもらっているのだから、その社員の不在対応は彼らが考えるものだ、など、ビジネス習慣の違いを感じさせました。

 このテキストを読み込むことで自分がビジネスパーソンとして英語を使って仕事をするきっかけを与えてくれたのです。最初の出張はNYで、会社は私の語学力を心配して通訳をつけてくれましたが、予定が延びて1週間が3週間になり、2週間は自分1人で本社の人間とやりとりしましたさぞ、わかりにくい英語だったと思いますが、これを乗り切れたのが大きな自信につながったのは確かです。いってみれば会計のロジック、財務諸表は万国共通です。もちろん、当時は米国会計基準と日本の会計基準には大きな乖離がありましたが、勘定科目の並びとかはほぼ同じですし、その米国の高校生向けに書かれたテキストを読んでいたからこそ、米国人スタッフと、ブロークンな英語でも堂々と対することができました。

 とにかく、自信を持って主張することが肝要と感じました。


サンタとお正月風景

 かつて泊まったホテルのフロント前の写真をお見せします。クリスマスは1週間前に終わった大晦日でしたが、中国語の「新年おめでとう」の文字とサンタクロースやクリスマスツリーが同居していました。彼らにとって、クリスマスよりも春節なのです。この年、2017年は春節が1月28日で、12月31日は大晦日といってもカレンダーがめくられるだけで、街の様子は変わりません。帰国は7日でしたが、街の至る所でクリスマスと春節お祝いのデコレーションが同居していたのはおもしろかったですね。






(参考)

 映画「クレイジー・イングリッシュ」監督チャン・ユアン


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